まずは文字切れについての基本。
文字切れとは、仕上がり線ギリギリに配置された文字や絵柄が切れてしまうことを言います。
印刷・断裁は人の手で行っており、どうしても「ズレ」が生じてしまいます。特に断裁は、大量の紙をまとめて一気に切って仕上げますので、一枚一枚全く同じ仕上がりにはなりませんし、多少のずれが起きやすい工程です。
もちろん仕上がり線を目安に断裁をしますが、内側にずれることも、外側にずれることもあります。
文字切れは「仕上がり線より内側で切ってしまった場合、中の文字が切れること」を言い、切れてはいけないものは仕上がり線から3mm以上内側に配置することで基本的には回避できます。
- ▲こちらはダメな例ですね。
- 青色の「仕上がり線」に近い位置に文字やオブジェクトが配置されています。断裁された際に青い線よりもやや内側で切れてしまうと、これらのものが中途半端に切れてしまいます。
- ▲こうすればOK
- 赤い点線の範囲内(=仕上がり線より3mm以上内側)に配置しなおしました。これで多少内側にずれて断裁されても大丈夫です。
兎にも角にも「仕上がり線より3mm内側の線」(これより外側に大切なものは入れないで。)
「内側3mm」を守ったうえで、もっときれいな原稿にしよう!
キーワードの「内側3mm」を守ったうえで、もっと良い原稿にするためのポイントをプリントキングの視点でお伝えします。オンデマンドはズレが起きやすいということもあるので、このあたりをご理解していただくことは当社としてもありがたい限りです。
なお、下記の点に関しては印刷できない不備ではないため、納期優先で「そのままで印刷して良い」というお客様が大半ですが、こういうポイントを押さえてデザインすることで、よりイメージに近い作品ができるかと思いますので、ぜひちょっと注意してみてください。
枠や飾り罫の落とし穴
「仕上がり線より3mm内側の線」より外側に大事なものは入れていません!という場合でも、デザインによって仕上がりにばらつきが出ることがあります。
また、両面とも印刷をするものに関しては、印刷の時点でのズレも要因として大きくなってきますので、より注意するとgood!です。
ギリギリの枠がある
仕上がり線より3mmの位置に枠が入っているような原稿。仕上がった際、多少のずれで外側の余白が変わってしまいますが、これが意外と気になるもの。さらにこのズレって残念ながら1枚1枚違うのです。
ギリギリの飾り罫がある
こちらは上記の“枠”ほどではないですが、こういった飾り罫のようなオブジェクトでも、余白の違いが気になるものです。
枠や飾り罫などをなるべくギリギリに配置したい場合は、仕上がり線から最低でも5mm程度離すと、気になりづらくなるかなと思います。仕上がり位置付近はズレが目立つポイント。多少ずれても気にならないデザインにすることがおすすめです。遠くから見て、余白や色の切り替わりが見えるものは注意しましょう。
遠くから見て、仕上がり位置付近に余白や色の切り替わりがあるものは、余裕をもって!
そもそもギリギリは読みにくい
ギリギリの配置は読みづらかったり、なんだか違和感のあるものです。もちろん“あえて断ち切るデザイン”も存在します。でも、基本的には適度な余白がとっても大事です。
- ▲気づかぬうちにやっているかも・・・?
- 仕上がり線から内側3mmには入れてないもん!と思っていると、意外と左のような仕上がりになっていたりします。
- ▲R18マークがギリギリになっていることも。
- 忘れがちですが、R18のマークが結構仕上がり位置に近かったりすること、ありませんか?
少しの余白が、ちょっとだけ洗練されたデザインにしてくれます。
- ▲忘れがちですが、ノンブル(ページ番号)も切れてはいけない要素です。
- 見せるノンブルの場合、ノンブルも仕上がり線ギリギリに配置するのはやめたほうが良いです。余裕をもって配置しましょう。
※隠しノンブルの場合は、ぎりぎりの位置でもデータ不備にはなりません。
こうしたことがうっかり起こってしまう原因として、「塗り足しの分が落とされることを見越していなかった」ということがあると思います。塗り足し分は落とされることも考慮して、余白を取るとgood!です。 一度仕上がりサイズで切り出して確認すると良いですね◎
デザインには余白が大切。一歩進んだデザインにするための簡単な近道です。
あえての“文字切れ”の場合は教えてくださいね。
市販の漫画の装丁などを見ていると、「あえての文字切れデザイン」はよくありますよね。同人誌でもそういうデザインにされる方はたくさんいらっしゃいます。その場合は、これは仕様なのかそれともうっかりなのか・・・私たちが見ただけで勝手に判断することはできません。
なので、「あえて文字切れさせるデザイン」「切れることも想定したうえでのギリギリ配置」の場合は、一言添えていただけると非常に助かります。
- ▲判断に迷ってしまう例
- 仕様なのか、文字切れることが分かっての配置なのか・・・迷うところです。なので、データ不備や確認事項としてお客様にお尋ねすることもあります。
あえての文字切れ、あえてのギリギリ配置の場合は教えてくださいね。
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